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[第72回] 中国の住宅事情(4)


連載企画「中国の住宅事情」の第4回目です。

前回は中国で販売されている住宅タイプに関する用語をまとめました。
今回は室内構成についてご紹介いたします。

間取りに関する用語

住宅の間取りについて日本では2LDK3LDKのように「~LDK」という言い方が一般的ですが、中国では「」という言い方をします。 

部屋の数を1室、室と「室」で数えるので、日本人でも理解しやすいと思います。
機能で分けると、寝室、書斎、子供部屋など様々あります。

「庁」とは四面を壁で囲まれていない空間を指し、ダイニングとリビングのことを言います。
玄関は「門庁」と言いますが、玄関はつしかないのが通常なので、この「庁」の中には含まれません。
ダイニングとリビングが仕切られていなければ庁となり、仕切られている場合は庁となります。

「衛」は「衛生間」(バス・トイレ)のことです。
3LDKタイプなら、「衛」もあれば、「衛」もあります。
中国の住宅設計で、日本と大きく異なるところとして、このバス・トイレがあります。
日本は、トイレ/洗面室/バス(シャワースペース)と通常つに仕切られた構成となりますが、中国ではトイレ/シャワー/洗面が部屋に入っています。
いわゆる日本でユニットバスと呼ばれる構成が、3LDKではヵ所設けることが多いです。
「衛」をヵ所設ける理由として、誰かが使用しているためトイレを待つのに耐えられない、住人(家族)が使うトイレと訪問者(親戚、来客、ハウスキーパー等)が使うトイレを分けたいなどの理由が挙げられます。
但し、トイレとシャワーがつの空間にあるため湿気で使いにくいこともあり、最近はシャワー室だけを囲み「乾湿分離」の設計が浸透しつつあります。
尚、中国ではシャワーだけというスタイルが多く、日本人のように頻繁に湯船につかりません。なので、バスタブを設置しないという家も多くあります。

中国語

ピンイン

日本語

户型图

hù xíng tú

間取り図

2室1厅1卫

liǎng shì yī tīng yī wèi

2DK

3室2厅2卫

sān shì liǎng tīng liǎng wèi

3LDK(UBつ)

门厅

mén tīng

玄関

玄关

xuán guān

日本文化の浸透しているのか、最近中国でも「玄関」が多用されています

落尘区

luò chén qū

玄関で汚れを落とすという意味で、玄関をこう呼ぶことが最近見られます

卧室

wò shì

寝室

主卧

zhǔ wò

メインの寝室

次卧/客卧/儿童房

cì wò /kè wò /ér tóng fáng

サブの寝室/客室子供部屋

书房

shū fáng

書斎

客厅

kè tīng

リビング

餐厅

cān tīng

ダイニング

厨房

chú fáng

キッチン

中厨

zhōng chú

中式キッチン

西厨

xī chú

洋式キッチン

卫生间

wèi shēng jiān

ユニットバス

厕所

cè suǒ

トイレ
お手洗いに似た言い方で「洗手間」と言う言い方もありますが、洗面室と間違いやすいので住宅ではあまり使いません

洗脸室

xǐ liǎn shì

洗面室

浴室

yù shì

浴室

淋浴间

lín yù jiān

シャワー(ルーム)



間取り図

では、中国で販売されている分譲マンションの間取り図はどのようなものでしょうか。

同じ約95平米の住宅で、日本と中国での間取り図の違いを見てみましょう。
どちらも今年(2021年)新築物件としてネット上に掲載されているものです。
日本の物件は東京都港区、中国の物件は北京市朝陽区(環と環の間)で、立地的には同程度の環境(地価が高い環境)です。

【日本:92平米/内装済/約2億円】
日本の間取り図では、以下の特徴が挙げられます。

  1. 鉄筋コンクリート造が多いので、大きな柱と壁の厚さで構造の確認ができます(グレー部分)
  2. 内装は完了しているので、ガスレンジやバスタブ、便座などの設備の確認もできます。
  3. 備え付けの収納スペースが多くあります(茶色部分)。
  4. 建具の様式(開き戸引戸折戸や内開き外開き観音開きなど)が確認できます。
  5. 排水が絡む洗濯機置き場や冷蔵庫置き場も示されています。
  6. 各部屋のおおよその面積が確認できます。


【中国:95平米/スケルトン/約1億円】※イメージ図です※

前回ご紹介したように、中国の住宅はほとんどスケルトンで売られているので、間取り図はあくまでイメージ図となります。
日本の間取り図と比べると以下の特徴が挙げられます。

  1. 壁構造が多いので、大きな柱はありません。色が濃い箇所は構造部分(厚めの壁)なので、取り外すことはできません。薄めの壁は仕切りとして造られており、通常取り外せると言われていますが、実際は確認しないと分かりません。
  2. 玄関ドア、アルミサッシ部分はありますが、設備建具はありません。イメージで描かれているだけです。
  3. 家具類、関連の床仕上げ(イメージしやすくするためか絨毯まで)もイメージで描かれているものです。
  4. 排水が絡む便座/洗面/シャワーなどもイメージですが、排水口が正確に描かれています。また設備として、エアコンの室外機置場が正確に示されています。
  5. 収納はほとんどありません。また洗濯機置き場や冷蔵庫置き場は特に示されていません。
  6. 各部屋の面積はほとんど記入されていません。


それでは、面積を知りたい場合ばどうすればいいのでしょうか。
実は、イメージ図以外に、販売業者の手元には寸法が示された図面もあります。

【寸法入りの間取り図】

記載された寸法を計算すれば部屋の平米数が分かります。

ちなみに、この寸法入り間取り図は、こちらから要望しないとなかなか提示されません。
要望してももらえないケースもあります。
図面を見る習慣がないのか、モデルルームを見るときにセールスマンに聞けば済むものなのか、理由はよく分かりません。
ただ、最終的に、実際に購入したら「不動産権証書」の最終ページに貼り付けられていますし、証書には各部屋の正確な面積が記入されています。

今回はここまで。
次回よりスケルトン住宅の購入後、内装の過程を辿りながら紹介していきます。

 

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筆者プロフィール

北京出身。

大学進学を機に来日し、大学卒業後は日本で某大手商社に入社。学生時代も含め、通算16年あまり日本で暮らす。

現在、モシトランス北京では品質担当の責任者として、モシトランス東京では創業メンバーとして、北京と東京を行き来する忙しい日々を送っている。