公開特許公報と特許公報
前回、特許が登録されるまでのステップを紹介しました。
【特許が登録されるまでのステップ】
- ステップ1: 発明の完成
- ステップ2: 出願
- ステップ3: 方式審査
- ステップ4: 出願公開
- ステップ5: 審査請求
- ステップ6: 実体審査
- ステップ7: 特許査定
- ステップ8: 特許登録
このうち、
- ステップ4: 出願公開
- ステップ8: 特許登録
のそれぞれのタイミングで、『公開特許公報』、『特許公報』が特許庁から発行されます。
【登録までのステップと公報】
- ステップ4: 出願公開 ・・・・・ 『公開特許公報』
- ステップ8: 特許登録 ・・・・・ 『特許公報』
公報に記載される内容
『公開特許公報』、『特許公報』には以下の内容が記載されます。
* かっこ書きの項目は『特許公報』にのみ記載されます。
- 公報の種別:『公開特許公報』 or 『特許公報』
- 出願番号、公開番号、(特許番号*)
- 出願日、公開日、(登録日*)
- 出願人、(特許権者*)
- 発明者
- 発明の名称
- 要約
- 特許請求の範囲
- 発明の詳細な説明
- 実施例
- 図面の簡単な説明
- 図面
上記の通り、『公開特許公報』と『特許公報』とに記載される内容(項目)は同じといえます。
大きな違いは、
- 特許として認められたものか?
という点です。
『公開特許公報』は登録前!
特許出願の日から1年6か月(18か月)経過後2週間以内に、『公開特許公報』が発行されます。
その際に特許庁がチェックするのは、出願書類に手続的/形式的に不備が無いか?(=方式審査)のみです。
つまり、『公開特許公報』は、まだ特許として認められていない出願が記載されており、出願がされたという事実を公にするものです。
これに対して、『特許公報』は実体審査をパスした発明が記載されています。
私も特許制度を知らなかった時は、『公開特許公報』も特許と認められた発明が記載されていると思っていたので、「こんな内容なのに、特許なんだ」と感じるものがありました。
『公開特許公報』はまだ特許化されていないので、極端な言い方をすると、「ん? なんだこの発明は。。。」というものもあります。
公報の検索方法
公報は、日本特許庁が運営する特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で検索する事が可能です。
* ここでは、『公開特許公報』と『特許公報』をあわせて『公報』とします。
J-PlatPatは「ジェイ・プラット・パット」と読みます。
特許情報プラットフォームの英語名称「Japan Platform for Patent Information」の略称ですが、
ユーザーが「ぷらっと」寄って、情報を「ぱっと」見つけられる
事を目指すべく命名されたそうです。(ちょっと、ダジャレっぽいですね。。。)
J-PlatPatは2015年3月23日(月)9時にサービスを開始しました。
以前(2015年3月20日(金)22時まで)は、特許電子図書館(Industrial Property Digital Library、略称IPDL)というサイトだったので、私はいまだに「IPDL」でネット検索してしまいます。
(「IPDL」でGoogle検索すると、J-PlatPatが最上位に表示されます。)
* 3月20日(金)22時~3月23日(月)9時の59時間は、空白期間だった事になりますが、週末だったという事と、他国の環境下(欧州特許庁が運営するEspacenetなど)で検索可能だったという事で、影響は少なかったかと推察します。
J-PlatPatで公報を検索する際、出願番号、公開番号、特許番号で検索すればピンポイントで検索できますが、キーワード(出願人や物品名称など)での検索も可能です。
余談ですが、調べてみると結構多くの著名人の方が出願されています。
好きな芸能人名でキーワード検索してみるのも楽しいかもしれません。
まとめ
今回は色々と脱線しましたが、
- 公報には『公開特許公報』と『特許公報』の2種類がある
- 『公開特許公報』は登録前のもの、『特許公報』は登録後のもの
という事を知って頂ければ幸いです。
次回は、「特許事務カレンダー」についてご紹介できればと思います。
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筆者プロフィール
沖縄出身。
進学を機に十代から沖縄を離れ、沖縄県外での時間の方が長くなりました。(海外、名古屋、東京)
夏になると帰省したい気持ちが強くなります。ここ数年実現出来てないので「今年こそ、夏は島へ帰る!」と意気込んでいます。
翻訳プロジェクトの新規開拓/提案/運用を担当しています。
特許事務所での経験を活かした翻訳サービスを日々思案中。