今回のお題
翻訳プロジェクト担当のUです。
今回は「用語集とスタイルガイド」についてご紹介いたします。
翻訳する際に、
対応する訳語が複数ある場合、どの訳語を採用するか?
どういう表現・スタイルで訳出するか?
で悩む事が多々あります。
お客様から明確な指示があれば悩む必要はありませんが、
一般的な用語・表現で翻訳して欲しい
という要望を頂く事も多く、非常に頭を悩ませます。
「一般的」というのは人それぞれによって異なるので、
「Aさんの一般的」≠「Bさんの一般的」
というように、ズレが生じる恐れがあります。
翻訳後「意味は正しく訳されているけど、この表現じゃないんだよね。。。」というような事態が生じては元も子もありませんよね。
このような事態が生じないように、翻訳に関して特段の指示が無い場合は、
簡単な用語集
訳出スタイル
を添えて翻訳を納品し、お互いのズレが生じないようにしています。
翻訳の依頼に慣れているクライアントや、連続性のある文章(例:マニュアルなど)の翻訳では、
用語集
スタイルガイド
をご提供頂く事が多いです。
用語集
同じ単語でも、クライアントによってその訳出が異なります。
例えば、同じ自動車会社であっても、A社とB社とでは訳語が異なるという事が多々あります。
なので、「業界内で一般的な用語で翻訳して欲しい」という要望であっても、翻訳は難しいというのが現実です。
特に、マニュアル等の改訂版を翻訳する際は、過去の訳語との統一が必須となります。
このような場合、用語集は必須アイテムだと言えるでしょう。
スタイルガイド
細かいルールを設定する事で、クライアントが求める翻訳を提供する事が出来ます。
例えば、
① 文体
② 数字の表記
③ 英字の表記
④ 語尾の長音
だけでも指定して頂けると、よりスムーズに翻訳作業を進める事が可能となります。
※以下「日本語訳の場合」で解説いたします。
① 文体
「ですます調」(敬体)と「である調」(常体)、どちらで訳すかという事です。
それぞれの文体が使用されるシーンは、以下の例が挙げられます。
「ですます調」
- 取扱説明書
- 企業紹介記事
- 解説文 等
「である調」
- ニュース記事
- 新聞記事
- 論説 等
② 数字の表記
普段はあまり気にしないところですが、どう表記するかは意外と細かいです。
例えば、
「1つ」・・・半角の算用数字を使用する
「1つ」・・・全角の算用数字を使用する
「一つ」・・・漢数字を使用する
というように、いくつかの表記方法があります。
③ 英字の表記
上記「② 数字の表記」に似ていますが、
translation
translation
というように、半角表記と全角表記とに分けられます。
④ 語尾の長音
英単語からなるカタカナ語の語尾を伸ばすか伸ばさないかです。
例えば、
「プリンター」・・・語尾に長音をつける
「プリンタ」・・・語尾に長音をつけない
というような事です。
この他にも、
- タイトルや見出しは、体言止めとする
- 操作手順は、「~してください」ではなく「~します」と訳する
- 複数の英単語からなるカタカナ語には、区切りとして中黒(・)を付ける
- 記号は全角を使用する
- 人名はアルファベット表記とする
等、事前に色々と取り決め(=意識のすり合わせ)しておくと、スムーズに翻訳作業を進める事が出来ます。
私達翻訳会社は、
- 訳文がどのような場面で使用されるか?
- これまでどのようなスタイルで訳出されてきたか?
までは把握出来ない事があります。
一見「そこまで細かく決めなきゃいけないの?」と思われるかもしれませんが、あらかじめルールを決める事により、クライアントが求める翻訳を完成させる事ができると思います。
ご相談、お見積もりなど、弊社へのお問合せよりお気軽にお問合わせください!
筆者プロフィール
沖縄出身。
翻訳プロジェクトの新規開拓・提案・運用を担当しています。
進学を機に十代から沖縄を離れ、海外、名古屋、東京と転々としています。
特許事務所での経験、中国支社との連携を活かした翻訳サービスを日々思案中。