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[第64回] 一文の適切な長さ

今回のお題

翻訳プロジェクト担当のUです。

今回は「一文の適切な長さとは?」についてご紹介いたします。

翻訳作業は、もちろん原文に則して翻訳を進めていきます。
その際、原文の文章が長すぎると、
 - 一回読んだだけでは、意味を汲み取れない
 - 係り受けがよく分からない
という事がしばしば生じます。

伝わりやすい訳文にするために、
 一文を複数文に分けて翻訳した方が良いのでは?
と思うこともありますが、基本的には原文通り文書を分断せずに翻訳します。
つまり、原文と訳文は1文:1文の関係です。

一文あたり50文字以内

まず、以下の文章を読んでみてください。

専門知識が求められる内容を翻訳していくのは誰にでも出来ることではありませんが、彼は、前職でのコネクションを最大限に活かし、不明点等があった際にはエンジニアから技術的な見地からの助言を仰ぎながら翻訳作業を進める事により、その知識を補っている。
120文字)

言いたい事は分からないでもないですが、いまいちスッキリしません。 
上記の文章を以下のように分けてみるとどうでしょう。

専門知識が求められる内容を翻訳していくのは誰にでも出来ることではありません。38文字)
しかし彼は、前職でのコネクションを最大限に活かしその知識を補っている。35文字)
不明点等があった際にはエンジニアから技術的な見地からの助言を仰ぎ、翻訳作業を進めている。44文字)

120文字の一文を、38文字、35文字、44文字の三文に分けることで、スッキリしたと思いませんか?

専門家の中でも意見は分かれますが、
 一文あたり50文字以内
を目安に文書を書くと、スッキリとします。

長文は翻訳が大変

一文が長いと、
 - 読むのに疲れる
 - どれか主語で、どれが述語か分からなくなる
等、読み手にとって「難読」となります。

翻訳の際には、
 - どれか主語で、どれが述語か分からなくなる
状況に陥ると一大事です!

上記の長文と短文それぞれをGoogle翻訳にて英訳してみました。

【長文】
It is not possible for anyone to translate content that requires specialized knowledge, but he makes the most of his connection in his previous job, and when he has any questions, he is technically asked by an engineer. The knowledge is supplemented by proceeding with the translation work while seeking advice from the viewpoint.
※どうやら一文が長かったからか、勝手に二文に分けられてしまいました。
※下線部箇所のニュアンスが原文と離れてしまっている印象です。

【短文】
It is not possible for everyone to translate content that requires specialized knowledge.
However, he makes the most of his previous job connections to supplement his knowledge.
When there are any unclear points, we seek advice from an engineer from a technical point of view and proceed with the translation work.
※ほぼ原文通りに英訳されています。

原文処理(プリエディット)

機械翻訳を活用する際に、「ポストエディット」という工程があります。
ポストエディットとは、機械翻訳した訳文を人の目でチェックし、訳し間違いや微妙なニュアンスの違いを編集(Edit)する作業です。

機械翻訳に行われるポストエディットに対し、機械翻訳に行われる処理をプリエディットと言います。
プリエディットにて、原文を
 - 一文を短文にする
 - 一文の主語や述語を明確にする
 - 用語、表現を揃える
等をし、機械翻訳の精度を上げる手法です。
(機械的にプリエディット処理をするツールもありますが、実際に使用した事はありません。)

本題からちょっと脱線しましたが、やはり機械翻訳も短文が好みと言えます。


翻訳はあくまでも「原文ありき」で進めるため、翻訳時に文章構造を変更する事は出来ません。
原文に手を加えて、書き手が意図としない文章になってしまったら大変です!

とはいえ、一文一文がスッキリと簡潔な文章の方が翻訳しやすいのは間違いありません。
また、読み物としても一文一文がスッキリとした文章の方が読みやすいと感じるのではないでしょうか。


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筆者プロフィール

沖縄出身。

翻訳プロジェクトの新規開拓・提案・運用を担当しています。
進学を機に十代から沖縄を離れ、海外、名古屋、東京と転々としています。
特許事務所での経験、中国支社との連携を活かした翻訳サービスを日々思案中。