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[第59回] 証明書翻訳

今回のお題

翻訳プロジェクト担当のUです。

今回は、証明書の翻訳についてご紹介いたします。

海外赴任、留学、国際結婚等でビザ申請をする際に、戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書等と共に、その証明書の翻訳物を提出するよう求められる事があります。

証明書に記載されている内容は、住所・氏名・日付等 いたってシンプルですが、誤訳があっては大変です!
(もちろん、全ての翻訳において誤訳はNGです!!)

今回は、証明書を翻訳する際の留意点をご紹介いたします。
※翻訳の言語方向は日本から英語で進めさせて頂きます。

和暦と西暦のジレンマ

日本国が発行する証明書は、すべて和暦で表示されています。
翻訳する際は、もちろん西暦へ変換しなければなりません。

インターネットで「和暦西暦」で検索すれば、和暦と西暦との対応表や変換サイトがヒットするので、それらのツールを利用すれば容易に和暦を西暦に変換する事ができます。
ただ、実際に入力するのは人手(アナログ)になるので、入力ミスが無いようにとても気を使います。

また、日本語と英語とで数値が異なるので、翻訳後のチェック時により一層気を使います。
(例:日本語「平成16年」、英語「2004」)

新元号への切り替えに際し、公文書での表記を西暦にする旨の報道を聞いた時は、個人的には大賛成でした!
結局は、これまでの慣例通り和暦のままですね。。。
自治体によっては和暦と西暦を併記しているところもあるようです。

尚、英語での日付表記はいくつかあります。
令和287日の場合だと、
 8/7/2020
 7/8/2020
 August 7, 2020
 7th August 2020
等いくつかのパターンがあります。
弊社は、依頼主から特に指定が無い場合は「7th August 2020」のスタイルで訳出しています。
ちなみに、アメリカ式では「月、日、年」の順で、イギリス式では「日、月、年」です。

どう読むのキラキラネーム???

地名や人名は、もちろんローマ字表記に変換します。

地名の読み方はインターネットで検索すればローマ字表記が分かりますが、人名の読み方は依頼主への確認が必須です。
例えば、「優」だと、「すぐる」「まさる」「ゆう」といったように、複数の読み方がある人名は多くありますよね。

余談ですが、いわゆるキラキラネームは何と読むか皆目見当がつかないので、依頼主から読み方の返答が無い時にはとてもあせります。

個人的には、証明書に読み仮名をつけるべきだと思います。

尚、ローマ字のつづりはパスポートの表記にも採用されているヘボン式で表記します。
(海外で証明書の提出を要する場合は、パスポートも一緒に提示すると思うので、表記が一致しなければなりません。)

以下、間違えがちな表記です。

日本語 〇:ヘボン式 ×:非ヘボン式
SHI SI
CHI TI
TSU TU
FU HU
JI ZI
JI DI ZI
シャ SHA SYA
シュ SHU SYU
ショ SHO SYO
チャ CHA TYA CYA
チュ CHU TYU CYU
チョ CHO TYO CYO
ジャ JA ZYA JYA
ジュ JU ZYU JYU
ジョ JO ZYO JYO

また、「大野(オノ)」、「優子(ユコ)」、「浩二(コジ)」などの長音を含む名前は、「ONO」、「YUKO」、「KOJI」と表記し、「O」、「H」、「U」を使った表記(OONOOHNO、YUUKOKOUJI)はしません。
この表記だと、ローマ字を読んだ時にどこか違和感がありますが、ルールには逆らえません。
(例:「ユウコ」だと「YUKO」と表記し、「ユコ」と読めるので違和感がありますよね。。。)

数の単位

証明書翻訳には、登記簿(「履歴事項全部証明書」等)もあります。
その際には、資本金や株式情報といった数値も翻訳対象となり、数値を英語変換する際に頭が混乱する事があります。

日本語では万、億、兆の順に0」が4つ増えるごとに単位が変わります。
 10000 = 1万
 100000000 =1億
 1000000000000 = 1兆

これに対して、英語の単位は千、百万、十億、兆の順に0」が3つ増えるごとに単位が変わります。
 1000 = a thousand(
 
1000000 = a million百万
 
1000000000 = a billion十億
 
1000000000000 = a trillion

レイアウト完全再現!

証明書を翻訳する際は、原稿のレイアウトを完全に再現する必要があります。

原稿と翻訳物は同じページ数でなければなりません。
原稿で改ページされている項目で、翻訳も同じように改ページします。
翻訳時に文字数が増えて1ページ内に収まりきれない場合は、文字サイズや行間等調整して1ページ内に収めなければなりません。

また、原稿の表と同じ表を作成し、空白ページがあれば翻訳でも空白ページを作成します。

これは、原稿と翻訳物を並べた時に、パッと見ただけで原稿と対になった翻訳物である事が分かるようにする必要があるからです。
と言ったところですが、実際の提出先(例:大使館)が原稿レイアウトの完全再現を求めているかは定かではありません。。。


以上のように、証明書翻訳は、通常の翻訳とは異なる性質を持つと言えます。

原稿の内容を完璧に訳出しなければならないという点で、基礎的な翻訳と言えるかもしれませんが、基礎的だからこそ完璧が求められる翻訳です。

弊社は証明書翻訳にも対応しております!
ご相談、お見積もりなど、弊社へのお問合せよりお気軽にお問合わせください!


筆者プロフィール

沖縄出身。

翻訳プロジェクトの新規開拓・提案・運用を担当しています。
進学を機に十代から沖縄を離れ、海外、名古屋、東京と転々としています。
特許事務所での経験、中国支社との連携を活かした翻訳サービスを日々思案中。