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[第50回] ADAS用語整理


2019年1月、中国自動車標準委員会は《道路車両 先進運転支援システム(ADAS) 用語およびその定義》(Road vehicles Advanced Driver Assistance Systems Terms and Definitions)のパブコメを出しました。
内容が審査を通れば、中国の国家推薦性標準(GBT)として発表される予定です。

ADAS(Advanced Driver Assistance Systems:先進運転支援システム、呼称「エーダス」)は、自動運転のレベル2に位置付けられている、自動運転を実現させるための段階です。

最近、自動車関係の会議では自動運転に関する議論が多くなってきました。しかし技術用語はもちろん、訳もまだ定着されていないように感じるので、今回は、この中国のGBTをベースに、日本語を整理していきたいと思います。

GBT用語の一覧表作成

まずは、GBTの用語一覧表を作り、それを英語略語のアルファベット順に並べます。

合計36個ありました。

日本語を合わせてみる

次に、一覧表の右側に、日本自動車メーカー各社の用語を並べようとしましたが、一社一社の用語を見ていくのに時間がかかり過ぎて断念しました。
そこで、サイト上で整理されている情報を利用することにしました。
参照元:https://www.zmp.co.jp/knowledge/adas_dev/adas_func

36個の用語のうち、ピッタリ一致する用語が5つありました。これはつまり、例えば会議で中国人が「ACC」と言った時、日本人に通訳する場合は同じく「ACC」と言ってほぼ問題のない用語です。

そして、そこそこ一致する用語は7つありますが、略語だけでは通じない可能性があるので、英語又は日本語に通訳しないと分からない可能性があります。例えば、「AEB」を「AEBS」に頭の中で変換する日本人がいるかもしれませんが、「IPA」を「APA」に変換するのは難しいかもしれません。

これをさらに複雑にしているのは、各メーカーの社内用語です。
同じ参照元からピックアップした、上記用語のメーカー毎の名称もバラバラです。
たくさんあるので目が回りそうなので、中・日の略語がピッタリ一致する5つの用語だけ見てみましょう。

これは何を意味するかというと、会議に参加される方は所属する会社の用語を極力使うように通訳したいのですが、ここまでバラバラだと、通訳の現場ではそこまで頭が回りそうもないですね。

参照元にない用語を調べてみる

上記の参照元にない用語を調べてみましたが、10個の用語についてはそこそこの情報を得られましたが、残りの14個についてはこれといった情報が得られませんでした。

中には、現在開発中の新しい技術もあれば、すでに普及した技術もあり、或いは他国では一つの技術として成立されているが、日本では別の機能でカバーしているものもあります。

いずれにしても、この14個の用語の定訳は現在ありませんので、仮訳を付けるか、会議検討の内容によっては、通訳がすべての機能を理解した上で、説明していくしかないかもしれません。

通訳者、翻訳者として、業界内での用語統一を切に願っています!

弊社は、多くの自動車関連通訳・翻訳の経験があります!
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筆者プロフィール

北京出身。

大学進学を機に来日し、大学卒業後は日本で某大手商社に入社。学生時代も含め、通算16年あまり日本で暮らす。

現在、モシトランス北京では品質担当の責任者として、モシトランス東京では創業メンバーとして、北京と東京を行き来する忙しい日々を送っている。