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[第11回] 中国政府関係者を受け入れる難しさ


3人目登場

みなさん、初めまして。ビジネス支援担当のNです。

某大手商社で長らく中国ビジネスに関わってきたので、その経験を生かして、みなさんに有益な情報をお届けできればと考えております。

さて、今回は中国政府関係者を受け入れる難しさについて、書き連ねてみたいと思います。ここから先は敬体(=ですます調)ではなく、書き慣れた常体(=である調)にしますが、何卒ご容赦を。

[モシトランスで受け入れた訪日ミッションの写真]
モシトランスで手配した訪日ミッションの例 (写真の一部を加工しています)

中国には2種類のパスポートがある

昨今の日中関係の改善を受けて、中国の地方政府の訪日代表団(=政府系訪日ミッション)が増えている。このことは一昔前によく言われた、所謂(いわゆる)“爆買い”とは別の動きである。

どこの国でも似たり寄ったりだが、そもそもパスポートには公務パスポートと私用パスポートの2種類がある。中国では公務パスポートを“因公”(yingong)、私用パスポートを“因私”(yinsi)という。前者は公の理由により発行されるパスポート、後者は私(=自分)の理由により発行されるパスポートという意味である。この2種類のパスポートは前者は緑色、後者は焦げ茶色と色も違い、一目で違いがわかる。

スケジュールが決まらない

外交パスポートを所持して海外へ出るのは公務であり、当然のことながら訪日は政府内部の指導者の批准(許可)が必要となる。指導者の許可が下りてから、訪日ミッションの人選が始まり、人選後に再度指導者の批准が必要となる。人選についての批准を受けてから対外的に正式にアポイント取得を開始することになる。従い、訪日に関する批准がいつ降りるのか時間が読めないという問題が生ずる。

中国政府系のミッションの受入れで一番苦労するのは、訪日ミッションの人員がなかなか確定しないこと、また確定しても日本入国のためのビザ取得に手間取り、当初予定していたスケジュールで来日出来ず、その結果として訪問先企業訪問のアポイントのキャンセルとリスケせねばならないという事態がしばしば起こる。従い、訪日ミッションの受け入れは、スケジュールを含む事前の受け入れ準備が一番の大仕事になる。

通訳の重要性

後は、現場での通訳を如何に成功させるかに掛かっている。訪問先の情報を収集しておくこと、また通訳で想定される専門用語について、訪問先の企業のWebサイト等を事前に調べて、必要と思わる専門用語の対訳を作っておくなど事前準備が必要となる。

NHKのプロフェッショナル 仕事の流儀という番組で、英日日英の同時通訳の日本の第一人者である“長井鞠子”さんの放送を見たことがある。彼女曰く、「同時通訳=“格闘技”」「準備と努力は、裏切らない」「英語力x日本語力」の3つのポイントを述べている。特に「準備と努力は、裏切らない」は正しく通訳として常に心掛け実践すべきことと痛感する次第である。


筆者プロフィール

横浜出身。

大学卒業後、某大手商社に入社。新人時代を除き、一貫して中国ビジネスに携わる。北京、上海、大連への赴任経験もあり、中国在住期間は通算で16年になる。

その経験を活かし、モシトランス東京ではビジネス支援を担当する傍ら、某大学の中国語学科では非常勤講師として中国の経済と社会について講義を行なっている。